CATEGORY

AIノベル

 「マー先生、助けてください! パソコンが……しゃべるんです!」
 電話口から飛び出した佐伯さんの声に、マー先生は思わず受話器を耳から離しそうになった。佐伯さんは前回「猫写真事件」でお世話になった40代の主婦。声の調子からして、またただならぬことが起きているらしい。

 「しゃ、しゃべるって……どういうことですか?」
 「本当に急に『こんにちは!』って言ったんです。しかも夜の静かなリビングで……私と娘がびっくりして叫んじゃいました」
 背後で娘さんの笑い混じりの声も聞こえる。どうやら二人で相当驚いたらしい。マー先生はため息をつきながらも、どこかでニヤリとした。こういう奇妙なトラブルほど、案外単純な原因が隠れているものだ。

 翌日、佐伯家を訪れると、玄関先ではまたもや猫が迎えてくれた。エプロン姿の佐伯さんは前よりも心なしか疲れた顔をしている。
 「昨夜なんて、寝る前にまた『こんばんは!』って……。もう、心臓に悪いんですよ」
 娘さんは後ろで半笑い。「ママ、パソコンに新しい友達ができたんじゃない?」と茶化す。

 リビングに通されると、問題のノートパソコンが机の上に鎮座していた。コーヒーカップとメモ帳の横で、妙に堂々と存在感を放っている。
 「さて、しゃべるパソコンさん。どんな秘密を隠してるのやら……」
 マー先生は椅子に腰掛け、電源を入れる。しばらく待つと――

 「こんにちは!」
 機械的な声が響き渡った。佐伯さんと娘さんが同時に「ひっ!」と小さく叫び、猫までもが飛び退く。
 「ほ、本当にしゃべった……!」マー先生も一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻す。

 「ウイルスですか? それとも、乗っ取られてるとか?」
 佐伯さんがオロオロと尋ねる。マー先生は首を振りながら、画面の設定を確認し始めた。
 「いえいえ、ウイルスの可能性は低そうです。多分、これは……」

 操作を続けると、すぐに「音声読み上げソフト」が有効になっていることに気づいた。しかも起動時の挨拶が「こんにちは」「こんばんは」に設定されている。
 「なるほど、これが犯人ですね」
 「えっ、犯人って……」佐伯さんはきょとんとする。
 「つまり、音声読み上げソフトの設定ミスです。誰かが誤ってショートカットキーを押したか、あるいはアプリのアップデートで勝手に有効化されたんでしょう」

 真相を知った瞬間、佐伯さんはホッとしたように胸に手を当て、娘さんは「なーんだ」と笑い出した。


 だが次の瞬間、佐伯さんがとんでもないことを言い出した。
 「……でも、なんだか面白いですね。この声、うちの“新しい同居人”にしようかしら」
 「えっ?」マー先生が目を丸くする。
 「ほら、『こんにちは!』って元気に挨拶してくれるし、なんだか寂しくないじゃないですか」
 娘さんも「いいねー! 名前つけようよ!」と大盛り上がり。結局その場で“ハローさん”という妙な名前まで決まってしまった。

 


 マー先生は頭を抱えつつも、どこか楽しそうな二人の様子に笑みをこぼした。
 「いやはや……トラブルがそのまま家族の娯楽に変わるとは。佐伯さん一家は本当に面白い」


 問題のソフトは設定を直して不要なタイミングではしゃべらないようにしておいたが、「起動時の挨拶だけは残してください!」と強く頼まれた。仕方なく、その部分だけは残すことに。
 帰り際、玄関まで見送ってくれた佐伯さんが笑顔で言った。
 「マー先生、また何かあったらお願いしますね。次はどんな“同居人”が増えるかしら?」
 「できれば増えない方がいいんですが……」苦笑しながら答えるマー先生。


解決と気づき

 今回の教訓は「パソコンの予期せぬ動作も、設定を確認すれば意外と単純な理由がある」ということだった。
 そして何より、困りごとも笑いに変える佐伯家の前向きさに、マー先生はちょっぴり元気をもらったのだった。


次回への予感

 帰り道、マー先生のスマホが震えた。
 画面には新しいメッセージ。

 「プリンターから突然、大量の謎の図形が印刷され続けるんです! 助けてください!」

 またしても珍事件の匂いが漂っていた。
 マー先生の奮闘記は、まだまだ続く――。

>会社のサポートの考え方

会社のサポートの考え方

インターネットの基礎知識からパソコンの内容までを技術の向上と人間性の向上を常に目指していき、スタッフの育成と情報の集積を行ってます。
お客様がいかに困っている時に対応できるか、又時間的、金銭面でもお客様にメリットがあるようにするのがモットーです。

CTR IMG